仮想的ひねもす亭

2009年9月29日火曜日

安全

松本人志はおそらく映画を作ることを必要としていない。「しんぼる」は、個として生きる松本人志を徹底的に覆い隠す。画面に登場する松本も、監督としての松本も、テレビに登場するタレントとしての松本人志であり、彼自身その領域を出ようとしない。かつらを被り、パジャマを着、無様な芝居をさらすことで、自身を安全な領域に隔離する。そしてタレント松本人志として一方的に映画と戯れる。難解風な作品を作る映画監督というステータスを得る。

彼だからこそそのように振舞うことが出来る。いわゆる映画、映画らしさを安易に持ち込まない。むしろ彼は、タレント松本人志が立っている場所から映画作りを始めている。松本人志だからこそ、それが出来るといえるだろう。胃モタレするような多くの作品群よりはずっと信頼できる映画だ。

しかし、「しんぼる」を構成する全てのカットはタレント松本人志という記号によって守られていて、映画は、彼個人を問うことを拒否する。そこに僕は歯痒さを覚えた。松本人志が映画を疑い、タレントとしての自身の存在に守られることなく、個としての松本人志を起点として映画作りを開始出来たとしたら、どのようなものになるだろう。「しんぼる」はまだ、リスクを負うことを避けている。

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2009年9月15日火曜日

まぜそば

笹塚からすぐのラーメン屋に入りつけ麺の食券を買おうと思ったら「まぜそば始めました」の貼り紙があって、割と好きな魚粉の効いたつけ麺を出す店だったのでどんなまぜそばが出てくるのだろうと思ってまぜそばの食券を買った。しばらくしてまぜそばが出来たらしくて、店員がすごく可愛かったのでどうというわけでもなくいいかっこしようと思ってクールに受け取ろうとしたらまぜそばが予想していたものと180度違うギトギトのこってりジャンク麺でびっくりして、自分の表情が一瞬でしかめっ面になってしまったのが分かるくらいに眉間に皺がよった。「○○ソースをお好みで混ぜてください」とそのすごく可愛い店員が言ったにも関わらずうんともすんとも言えなくて、○○ソースって何だろうって思ってよく見たらレンゲに並々と赤色の混じったマヨネーズが入っていて、舐めてみたらやはりマヨネーズだった。タレとか油とかソースとかがたっぷりと絡んだ大量の極太麺に刻みねぎとか坦々麺の上に乗ってるやつとか炊き込みご飯のおにぎりとか色々と乗っていて、レンゲには大量のマヨネーズで、「これはやりすぎだろう」と思いながら、改めて自分がずっとしかめっ面をしていたのを思い出し、「ORIGINALITY」の撮影の時にあった、意識してやっているわけではない自分の習慣的な仕草なり表情みたいなものが撮られた映像を自分で見返したときの過剰な居心地の悪さみたいな記憶がよみがえって来て、もし僕がこのラーメン屋に入ってきてからの一部始終の映像を見ることがあったとしたら、とても居心地が悪いのだろうなと感じた。

それでラーメンの方はいまいちで、マヨネーズは混ぜたくなかったけれどレンゲは使いたいという状況の中しばらく箸だけで食べていたのだが、途中でめんどくさくなって結局マヨネーズも全部混ぜた。特においしくなるわけでもなく、量というよりも全体的なパフォーマンスとして二郎とかを食べるよりずっと辛くて、残したいなあなんて思ったのだけれど可愛い店員がいる手前なのかどうか知らないがとにかく食べ物残すのはよくないという美学が発動して綺麗に食べ切って店を出た。

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2009年9月14日月曜日

未定

池田新作映画のロケハンとして茨城県日立市へ。タイトルは未定だが、自主で作るわけではない今回の映画制作に踏み出すのに充分な完成度のシナリオも上がり、撮影までの時間はそれに修正を加えながらディテールを詰める作業になってゆく。とはいえスタッフ側のスケールは変わらないので、役割分担を超えて映画の制作に関わり合うことにストレスが生じない。映画の運動は個々の内にあるわけではなく個々を結ぶ回路に発生する。人と出会うこと、土地と出会うこと、そういう時間の蓄積の中に充実した映画の予感をひしひしと感じる一日だった。

そして何より暖かい人々に出会えたことが嬉しい。少し遅れてきた夏休み。

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2009年9月9日水曜日

映画のタイトル

イボを三回ほど焼いた。焼く時の激痛には未だに慣れないが、5日くらいして徐々に変色してカサブタのように剥け出すのが楽しい。最近ではちょうど前の土曜日に焼いたので、あと1日か2日で剥け出すはずだ。だんだんと患部が硬くなってきたのが分かる。

今日は遅かったので明大前のすた丼で夕食を食べた。8月は暑くて自炊する気が起きなくて平日は大体外食していたのだが、そろそろ涼しくなってきて気分も良くなってきて自炊とかも出来そうだ。暑いともう何に対してもやる気が起きない。早く冬が来て欲しい。

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